いや、もちろんダメなんですけど、食事指導で「甘いものや炭水化物は控えて、
お酒も蒸留酒に」と言うと「タバコはどうなの?」と聞かれることがしばしば
です。頭ごなしに「ダメに決まってるやろ!」では科学的ではないので少し
詳しく解説を。
まあ質問してくる人もダメと分かってて聞いてる節があるので(^ ^;)、特別
詳しく言う必要も無いのかも知れませんが、タバコの害は何をおいても血流の悪化
です。もちろん肺癌や心筋梗塞、脳梗塞の危険性も指摘されていますが、これらは
直ちに発症するものではないでよね。ですが血流の悪化は喫煙したその瞬間から
始まります。僕たちの血液中には赤血球が無数にあって、その中にあるヘモグロビン
に酸素が合体して全身に運ばれています。赤血球は酸素運搬のトラックみたいな
役割なんですね。
で、タバコを吸うと必ず一酸化炭素(CO)が体内に入るのですが、このCOは酸素
よりも早くヘモグロビンに合体しちゃうんですよ。なんと酸素の200倍以上の
効率で合体するそうです。COと合体したヘモグロビンをメトヘモグロビンと言います
が、こうなると本来のヘモグロビンの能力は失われます。つまり酸素運搬ができなく
なるワケです。タバコを吸うと全身酸欠になるんです。そうなれば当然、疲れは
取れないし、痛みやケガも治りにくいし、冷えるし、で良いことは一つもありません。
糖尿病の検査項目でHbA1cというのを聞いたことがあるでしょうか。これは糖と
ヘモグロビンが合体したものなんですが、この場合もヘモグロビン本来の能力は失われ
ます。HbA1cが高い人が喫煙したら…考えるだけで恐ろしいですね。
疲れが溜まってる人やストレスフルな人が喫煙する傾向にあるようですが、血流悪化に
よって益々疲れてストレスが貯まることでしょう。最近では喫煙者を雇わない企業がある
ようですが、喫煙者は仕事でもよいパフォーマンスを発揮できませんから、これは当然の
措置かも知れないですね。昔は僕も喫煙してましたし、カッチョいい映画のシーンを
まねてくわえタバコしてみたくなる時もありますが(笑)、良い仕事をしたいのでもう
絶対吸わないです。