整形外科を受診する契機となる症状は圧倒的に「痛み」が多い
ですが、それに付随もしくは単独での「しびれ」も次いで多い
です。そしてしびれがある時、一般的に難治傾向と考えます。
と言うのも、痛みをコントロールする薬は数あれど、しびれを
抑制する薬はなかなかないからです。薬がないから難治、って
考えるのは医師としては恥ずかしいことなんですが、それは
さておき、腰痛と下肢のしびれとか、肩痛と上肢のしびれとか、
はたまた痛みはないけど指がずっとしびれてる、と聞くと
身構えるのは確かです。
しびれは神経圧迫の特徴的症状なので、上肢なら頚から枝分かれ
した神経のどこかに圧迫があるのではないか、下肢なら腰から、
という具合に神経の走行に沿って異常を検索するのが通常です。
レントゲンでは神経を描出できないので、専らMRI検査が勧め
られます。腰部脊柱管狭窄症とか椎間板ヘルニアなどが良い例
です。
しかし、画像検査で異常が見つからない場合も実は結構あります。
ここからが本当の難治で、一体なぜしびれが出るのか分からない、
とりあえずの薬もない、となると途端にお手上げ状態になりがち
です。医師も内心途方に暮れてたりします。(^ ^;)
ここで突破口になるのが「酸欠」です。神経が圧迫されるとしびれ
が出ますが、神経周囲には密に血管があるので、まずその血管が
圧迫されることで神経が酸欠になってしびれる、というのがひとつ
のメカニズムなんです。であれば、酸欠を証明して改善できれば
しびれを治療できるかも、と期待できますね。
酸欠の原因は様々ではありますが、大別すれば供給が足りないか
需要が亢進しているか、です。具体的には説明し切れませんが、
栄養療法が整形外科領域にも効果を発揮するのは、この診断と
治療に長けているからです。と言っても酸欠を改善するサプリ、
なんてのがあるわけではないですからね。念のため。(笑)
ちなみにハイドロリリースもしびれ治療になり得ますが、これは
ざっくり言えば画像検査で捉えきれない圧迫を解除している、
というロジックです。物理的な酸欠対策、という言い方もできる
でしょうね。いずれにしても、原因不明の慢性しびれは酸欠
から来る場合がある、と認識するだけでも希望が持てるのでは
ないでしょうか。