慢性の腰痛や肩こりに湿布薬、は日常的に行われている
行為です。CMでもフェ○タスさんが皆々を救っている様が
描かれていますが(笑)、さて、そんなに湿布って効く
のでしょうか?
先週、日本での湿布薬処方が54億円を超えるという
ニュースがありびっくりしました。超巨大市場です。ウチ
でももちろん湿布薬は処方していますが、この数字は
整形外科に限らず頻用されていると言うこと、また痛みに
悩む人が多いと言うことを表しているのでしょう。
でも実際の臨床現場で交わされる会話は「一応出して
おいて」とか「無いと不安だから」という要望が多く、
またあまり深く考えず同処方を繰り返す医療行為が蔓延
しているように感じます。実際、54億円の内訳は70歳
以上の患者が70%を占めるそうで、高齢者の慢性疼痛に
漫然と処方されている様子が透けて見えます。
そもそも湿布薬は、温冷に関わらず消炎鎮痛剤ですから
血管収縮作用があります。つまり血流を悪化させる副作用
があるので、「冷やす薬」に分類されます。外傷で赤く
腫れて痛い場合には良い適応ですが、炎症所見に乏しい
慢性疼痛や、まして冷え症がある方には不向きです。
高齢者に多用されている現状は医学的には間違いでしょう。
市場が大きければ乗り遅れてはいけないと次々に新商品が
出るでしょうが、まずは自分の痛みが冷えで悪化するのか、
あるいは温めると楽なのかを知ることが大事です。決して
気休めで使う薬剤ではないことを銘記すべきでしょう。