漢方薬を科によって分けること自体が漢方治療の本質から外れるんですが、
我々は一人残らず西洋医学の薫陶を受けているので、やはり西洋医学の言葉
を適用した方が何かと便利なのも事実です。漢方の講演でも「婦人科の漢方」
とか「耳鼻科の漢方」とか領域別にタイトルをつけることが多いです。
さて、中でも最も難しいと言われているのが「皮膚科の漢方」です。湿疹や
かゆみに使用する漢方薬は結構種類が豊富なんですが、なかなか根治に至ら
ないのが実情です。服用中は症状が軽減しても中止するとすぐに戻ってしまう
とか、半分ほどは良くなってもそこからテコでも良くならないとか…。
これは一重に皮膚症状は根深い原因によるものだからと推察していますが、
かと言って、湿疹のひどい人にひたすら食事指導だけ、ってのも非人道的
ですし、とは言え西洋薬一本やりだとどうしてもステロイドの量が増えて
しまう…。
トップページの「ごあいさつ」でも述べていますが、皮膚科疾患こそ「浅い」、
「中間」、「深い」の3つのレベルで治療を構成しなくてはいけないのだと
感じています。皮膚外用薬+漢方薬+食事指導ということですね。特にかゆみに
使う漢方薬はニガイものが多いので継続するだけで大変ですが、慢性の経過で
あればあるほど外用薬のみでは厳しいかなと思います。
一概には言えませんが、アトピーなどの慢性皮膚疾患の方の血液データは多くが
低タンパクなので、栄養の偏りが原因の大部分を占めているようです。不味い
漢方薬を飲みながらかつ食事内容を変える、なんてのは拷問のように感じるかも
知れませんが(笑)、なんとか励ましてお勧めしています。