なぜか最近、化膿して膿瘍までできてしまった患者さんが連続しています。膿瘍と
いうのは皮下に膿の溜まりがある状態のことで、これは早急に排出しなくては治癒に
至りません。
化膿とは菌が感染した結果起こるわけですが、感染には炎症が必ず伴うので、患者さん
の症状は、「赤い、腫れる、痛い、熱い!」です。このような状態を見ると、つい
抗炎症剤だけで勝負しそうになりますが、背後に膿瘍がいないかどうかは必ず気に
しなければいけません。膿瘍があれば炎症が治まらないからです。
となると、膿瘍があるような場合の治療はまず膿を排出することになりますね。昔は
「炎症があると傷が治らないから切開はまだできない。」なんて言って、痛くて
苦しんでるのにひたすら痛み止めだけ処方する、なんてことがまかり通っていました。
正解はまず切開、そして抗炎症剤と抗生物質です。
そして切開後に注意しなければいけないのが、切開部を閉じないようにすることです。
中途半端に排膿しただけで閉じてしまったら、また同様の症状を繰り返す可能性がある
からです。たいていは、切開した部分にナイロン糸などを挿入して、毛細管現象で
中の溜まりを根こそぎ引き出す処置を施します。感染状態が治まれば自然と創は閉じて
いきます。
会社で不祥事があった時などの根本対策として「膿を出し切る。」なんて表現したり
しますが、まさにそういうことです。表面的な対症処置では決して根治に至らないわけ
ですね。ま、本当はさらに「なぜ膿んだか?」までをフォローして初めて完璧な対策に
なるんですけどね。
膿瘍を我慢して飼ってると結局長い経過になって、手痛い出費を払うことになりかねない
ので、膿瘍を発見したらさっさと出し切りましょう。(^ ^)