院長室

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一手遅れる

まあ漢方薬に限ったことではありませんが、一般に内服薬は

口から入って、消化管で吸収されて血液中に入り、臓器に

到達して効果を発揮します。薬によって代謝経路が違って

いたりしますが、吸収経路の概要は同じです。


ということは、薬の効き目というのは血液中の薬の成分の

濃度に依存すると言えます。濃度が濃ければよく効くし、濃度が

薄ければ効き目が落ちる、ということです。もちろん患者さん

側の都合もあるので、胃腸障害がある人には低用量から開始

したり、むしろ胃の調子を整えてから目的の薬を使ったり、と

投与方法が一通りではないのは確かです。

特に漢方薬はまだブラックボックスの部分が多く、むしろわざと

低用量にする場合もあったりします。


ただやはり最初はしっかり飲んで血液中の濃度を高めた状態で

どんな反応が出るかを見るべきです。だいたい漢方薬は1日に

3袋飲んでもらいますが、この量を飲まなければ正確な効果判定

はできないわけです。中には、2週間分処方して1ヶ月後に再診し

「この漢方は効かないなぁ。」

なんておっしゃる方がいますが、これでは血中濃度が低いはず

ですから正当な判定とは言えず、

「う〜ん、まずはしっかり飲んでみてからです。」

と返答せざるを得ません。決して怒っているわけでも手抜きを

しているわけでもなく、これしか言いようがないんです。

せっかく時間とお金をかけて来てもらっても治療が一手遅れるわけです。


人間の体も漢方薬も分からないことだらけですから、せめて内服の手段、

方法は論理的でないと治療が迷走してしまいます。

僕もどちらかと言うとガサツな人間ですが(^ ^;)科学者の端くれで

ある以上は、論理的思考で治療に臨みたいと思っています。


2011年8月8日 月曜日

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