60代の男性で、10月中旬から右のカカトが痛いという患者さんです。
1日中痛い、体重をかけると痛い、ということでレントゲンを撮りましたら
カカトの骨にトゲがあります。これは骨棘(こつきょく)といって、負担のかかった
証です。一般にはこれに伴う足底からカカトの痛みを足底腱膜炎といって
痛み止めや局所注射をして様子を見ます。
この方にはまず漢方薬を飲んで頂きました。桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)と
麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)の組み合わせで朝の痛みは軽減しましたが、
仕事が終わる夕方から夜にかけては痛みが引きません。
そこで遠絡療法の登場です。「カカトのトゲ」に着目するのではなく、あくまでも
もっと中枢の障害と考え、脊髄の治療をしましたところ、1回の治療で痛みの
程度は半分以下になりました。現在も治療継続中で、まだ完全に改善した
わけではないですが、痛みの頻度はかなり減ってきています。
やはり「形の異常」に目を奪われてはいけない、という良い例です。