栄養療法はその方の栄養の過不足を見つけ出して食事指導を行う
治療法です。「へー、そんな不足が隠れていたのかー。」と患者さん
は、時に僕も一緒に驚くわけですが重要なのはそれが吸収できるか
どうかです。
不足した栄養素を見つけて、せっせとサプリメントを飲んでも
吸収されなければ身にならないどころか、害になることもあり
ます。なので、僕たちは食事指導の中で必ず「食べ方指導」も
します。
特にやってはいけないのが「早食い」。僕も勤務医時代はそうで
したが、いかに短時間で食事を済ませられるかも大事なスキル(?)
だったりします。サンドイッチを喉に詰まらせながら手術室に
走る、なんて今から思うと自殺行為ですが(^ ^;)、営業職の方や
夜間勤務のある方も食事に十分な時間をかけられていないのでは
ないでしょうか?
消化吸収をしっかり行うためには、まずは咀嚼がスタートですね。
そして咀嚼されることで唾液が分泌され、それがサインになって
胃酸が出て、消化酵素が出て、…と順番に消化の手順が進んでいき
ます。なので、最初の咀嚼を疎かにすると消化の準備が整っていない
消化器官に食べ物を放り込むことになります。消化が進んでいない
食べ物は我々にとってまだ異物ですから、吸収されないどころか
アレルギーの対象になる可能性すらあります。
忙しい方は、それだけエネルギーを消費しているわけで、むしろ
消化吸収が良い状態の食事をしなければ、食べているつもりでも
必要なエネルギーを確保できていないかも知れないです。ほんの
少しのことでエネルギー効率をあげるのが「ゆっくり良く噛んで」
食べることです。ちなみにスムージーや自作ジュースなんかも
同じ理由から「噛んで」飲みましょう。