朝夕は随分と冷えてきました。寒くなると血管が
締まるので血圧は上昇する傾向にあります。ですから、
今の時期の血圧上昇は生理的な変化とみなす部分も
あることになります。
血液はその大部分が赤血球で、これが酸素を身体中に
運んでくれています。ヒトの臓器で一番酸素を食うのが
脳なので、常に新鮮な血液を求めています。脳は心臓
よりも高い位置にあり、脳が酸素不足状態になると
心臓は頑張って高い位置に血液を送ろうとしますから、
この場合も血圧は上昇することになります。
脳の機能が低下すればそれだけ効率も落ちるわけで
酸素需要は逆に高まります。となると高齢者の血圧上昇
もある程度は生理的な変化と言えるでしょう。つまり、
冬期の高齢者の血圧は高くても不思議ではないと言う
ことです。当然動脈硬化があっても血圧は上がりますが、
生理的な変化なのか、病的な変化なのかを見極める
ことが重要なわけです。
もし生理的な血圧上昇に対して降圧剤を使用すれば、
脳の酸素需要を満たせませんから、脳機能低下を招き
ますし、その先には脳梗塞があります。基準値だけで
薬剤処方するのは危険だということが分かると思います。
ちなみに血圧の急な変化もとても危険です。リビングは
暖房で暑いくらいだけどトイレは寒いとか、風呂場は
暖かいけど脱衣所は冷えている、というのはあまり
良くないです。色々工夫して、屋内での寒暖差を作ら
ないようにしましょう。