院長室

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冬の血圧

朝夕は随分と冷えてきました。寒くなると血管が

締まるので血圧は上昇する傾向にあります。ですから、

今の時期の血圧上昇は生理的な変化とみなす部分も

あることになります。

 

血液はその大部分が赤血球で、これが酸素を身体中に

運んでくれています。ヒトの臓器で一番酸素を食うのが

脳なので、常に新鮮な血液を求めています。脳は心臓

よりも高い位置にあり、脳が酸素不足状態になると

心臓は頑張って高い位置に血液を送ろうとしますから、

この場合も血圧は上昇することになります。

 

脳の機能が低下すればそれだけ効率も落ちるわけで

酸素需要は逆に高まります。となると高齢者の血圧上昇

もある程度は生理的な変化と言えるでしょう。つまり、

冬期の高齢者の血圧は高くても不思議ではないと言う

ことです。当然動脈硬化があっても血圧は上がりますが、

生理的な変化なのか、病的な変化なのかを見極める

ことが重要なわけです。

 

もし生理的な血圧上昇に対して降圧剤を使用すれば、

脳の酸素需要を満たせませんから、脳機能低下を招き

ますし、その先には脳梗塞があります。基準値だけで

薬剤処方するのは危険だということが分かると思います。

 

ちなみに血圧の急な変化もとても危険です。リビングは

暖房で暑いくらいだけどトイレは寒いとか、風呂場は

暖かいけど脱衣所は冷えている、というのはあまり

良くないです。色々工夫して、屋内での寒暖差を作ら

ないようにしましょう。

2016年10月31日 月曜日

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