…なんてエラソーなタイトルをぶち上げてしまいましたが、漢方薬の仕組みは
実は分かっていません。ごめんなさい。
漢方薬の認知度が上昇しているのは事実ですが、ドクターからしても患者さんから
しても漢方薬はなんとなく神秘的なものとして捉えられている節があります。曰く、
「エビデンスのない得体の知れない薬」であったり、「色々な症状が取れる不思議
な薬」であったり。
漢方薬を科学的に分析する試みは以前からされており、実は海外でも結構盛んに研究
されています。漢方薬は「複数の生薬の集合体である」というのが定義ですから、
どんな漢方薬もいくつかの生薬から成り立っています。ではその生薬の有効成分が分離
できればなぜ漢方薬が効くのかが理論的に説明できるはずですよね。しかしながら
生薬一つも多成分系で、なかなかどの成分が主となっているのかが分からないんですね。
そんなわけで漢方薬はまだまだ科学的な薬とは言えません。だからこそ神秘的な印象を
与えてしまいますが、その処方手順は極めて論理的です。科学的な論証はさておいて、
生薬の効能をまず覚えることができれば、あとはその生薬の足し算が即ちその漢方薬の
効能となるわけですね。そしてどんな場面でどの生薬を選ぶかは古来からの診断学で
決まっています。なので、医師のセンスによる選択の余地はあるもののある程度は自動的
に薬は選択されます。
漢方薬の効能書きを見ると、「体力の虚している、やや色白の婦人の月経にまつわる
諸症状に用いる」とか分かったような分からないような、いや、やっぱり全然分からん
(笑)記載があるのですが、これは生薬の効能に起源があるわけですね。漢方薬を
単一の薬と思わずに生薬の複合物と見れば、そんなに不思議でもなくなります。