何故か今年は暖冬にも関わらず低温熱傷の患者さんが多いです。湿潤療法が
広まってウチを検索して来てくれる方が増えただけで、発生数は例年通り
なのかも知れませんけど。
低温熱傷はその名の通り、あまり熱いとは感じない程度の低温に長時間暴露
される事が原因です。一番長時間になるのは寝ている間なので、湯たんぽや
電気毛布がダントツに多いです。次が貼るタイプのカイロですかね。
低温熱傷と通常の熱傷が決定的に違うのはその深さです。低温熱傷の場合は
もの凄く深いところまで損傷します。皮膚はタンパク質の塊みたいなものです
から、一度熱で損傷されると元には戻りません。目玉焼きを冷やしても生卵に
戻らないのと一緒です。そして損傷された組織は不要な組織となり壊死します。
この壊死が1〜2週かけて起こるので、低温熱傷はしばらくしてひどく痛く
なったり赤く腫れたりするのです。
この過程は程度の差こそあれ、どうやっても防ぐことはできません。湿潤療法
はあくまで治療法であって予防法ではないのです。低温熱傷が壊死を起こすと
治癒まで3ヶ月ほどかかることも多いです。日常生活に支障を出さないのが
湿潤療法のよいところではありますが、通常の熱傷よりも断然跡は残りやすい
のは湿潤療法でも変わりません。
そうなると、いかに低温熱傷を起こさないかが鍵ですが、湯たんぽを使う時は
面倒でも眠る1時間くらい前に布団の中に入れておき、寝る時は布団から出す、
という方法が良いでしょう。間違っても抱いて寝てはいけません。(笑)
電気毛布も最弱の温度にしてかつ、直に寝ないことを徹底すべきです。間違っても
簀巻きになって寝ないよーに。そんなヤツいねー。
また明日から寒くなるようですので、是非ともお気を付け下さい。ちなみに僕は
もともと暑がりなのでそんなに防寒も必要ないのですが、どうしても寒い夜は
ハイネックのフリースを重ね着して寝てます。