めまいや立ちくらみ、冷えや乾燥肌、これらの症状を見ると西洋
医学的には貧血を疑い、東洋医学的には血虚を疑います。どちらも
同じような病態を指しているようで、若干ニュアンスは違います。
貧血は正確には酸素欠乏による諸症状のことを指します。めまいや
立ちくらみが有名ですが、それは脳が酸素欠乏に敏感なので、早期
から出やすい、というだけです。当然全身の症状もあり、たとえば
筋肉が酸素欠乏になれば痛みになり得ますし、肝臓が酸素不足に
なれば代謝に問題が出ます。
酸素欠乏の裏には鉄不足があることが多く、定期的な出血がある
有経女性では貧血は避けがたいものでもあります。慢性に鉄不足が
経過すると、それを挽回しようとするシステムが発動するので、意外と
無症状で経過することもあります。血液検査をしてはじめて貧血発覚!
なんてこともありますが、組織の酸素欠乏は進んでいますので、放置
してはイケマセン。
対して血虚はどちらかと言うと「栄養不足」というニュアンスの病態
です。心臓から遠い組織ほど栄養が届きにくいので、皮膚表面や髪、
四肢尖端に症状が出やすくなります。めまいや立ちくらみもそうですが、
むしろ皮膚乾燥、ささくれ、冷え、脱毛などが特徴的です。
血虚に対する薬も種々ありますが、それを飲んだからと言って鉄が
増えるわけではないので、症状が似ているからと言って貧血と血虚を
混同せず、別々に検索して治療する方が良い結果が出ると思います。
男性諸氏には分かりづらい、と思われがちですが意外と最近は貧血や
血虚の男性も増えています。なんか疲れやすいな、と思ったら貧血
だったとか、抜け毛が増えたのは血虚のためだったとか…。どちらも
ゆっくり進行することが多いですが、その分気付かれにくいので
注意が必要です。