栄養療法では血液データを重要視して、自覚症状などと
合わせて栄養状態の把握を進めるわけですが、そのために
血液データの“クセ”を知ることが大事です。
まず血液データは当たり前ですが「血液中の濃度」です。
栄養素は細胞の中に入って仕事をするので、本当に知りたい
のは「細胞中の濃度」です。でもそれを知ることは現状
できないので、細胞から放出された物質の濃度を手掛かり
として栄養素の過不足を推理しているのです。血液中と
細胞中の濃度に差がないものほど信頼度が高いと言えます。
それから血液データには「基準値」がつきもので、これを
もとに「判定」が下されます。ただ、この基準値は普遍的
なものではなく、健康であるという前提の検査会社の社員
さんのデータから作られるので、「基準値内=正常」では
ないと思った方がよいです。
そして採血方法。血管が出にくい人の腕をパンパン叩いたり、
採取した試験管を乱暴に振ったりすると血球成分が壊れて
データが変わってしまいます。また、長時間保管することで
血糖値が変化したりもするので、採取したら提出まで日を
またがないのが原則です。
そうして出てきた検査の結果は、全ての項目に上昇する要因と
低下する要因があります。もしも同時に両方の要因があれば、
上がって下がるのでとても良い数値に見えてしまいます。
これらを考慮して慎重に読み解くのが栄養療法では基本の
読み方になります。難しいですが、色々なことが分かるので
血液データを基準値に入ったかどうかだけで判断するのは
とてももったいないことです。