新しい治療法を導入する際に、もっとも気を遣うのがその治療法を
どう患者さんに説明するか、です。当然患者さんは医療の専門的な
知識はありませんから、どんな治療法でも分かりやすく説明すること
は基本なのですが、とりわけあまり認知されていない治療法とか、
一般には反対されている治療法の場合は腐心します。
ウチの場合も結構マニアックな治療法が多いので、その理屈を知って
もらうのに時間をかけることになります。体幹調整療法については
よく「まず予約をとりたい。」と言われるのですが、これはお断り
しています。もしも予約を取ってもらって来院されても、そこでまず
理屈から説明することになり、治療も含めるとすごく時間がかかります。
また説明を聞いてやっぱり治療はしないということになると、その分、
予約枠を無駄に消費することになってしまいます。
なので、遠方の方には大変申し訳ないのですがまずは診療時間内に
治療法の理屈を説明して、現在の症状と治療法がマッチするのか、
そして納得して治療できるのか、を確認してから治療を行うことに
しています。AKA−博田法の場合であればその理屈は「関節包内運動
の改善」であるし、遠絡療法であれば「エネルギーの流れの調整」
です。決して「腰痛の治療」でもなければ「アトピーの治療」でも
ありません。それは結果です。
漢方薬でも「不眠症の漢方薬ください。」などと言われることがあり
ますが、こういう場合に理屈が必要なのは患者さんよりむしろ医師側
です。不眠症の漢方薬をいくらたくさん知っていても、その使い分けが
できなければ無駄な処方が増え、お金も時間も浪費させてしまいます。
そして使い分けをするには理屈が必要です。これは必ずしも科学的で
ある必要はありません。
とかく“理屈っぽいオトコ”は嫌われがちですが(笑)、こと治療に関して
は理詰めで思考するクセをつけて、思い込みやノリ(?)で行わないよう
心掛けています。