先日テレビで漢方薬の特集をやっていたようで、その中で葛根湯が
取り上げられ、さも万能薬かのような紹介のされ方だったため、
問診票に「葛根湯希望」と書く人まで出現しています。(^ ^;)
テレビの影響おそろしや…
葛根湯に限らず、漢方薬は複数の生薬の合剤です。そして一つの
生薬に既に複数の効果効能がありますから、西洋薬に比べて漢方薬
の効果が多岐にわたるのは当然です。ただそれを以て万能薬と言う
のはちょっと言い過ぎです。複数の生薬の合剤ではあるけれど、
含まれる生薬の以上の効果はもちろん出ません。
例えば葛根湯は葛根、麻黄、桂枝、芍薬、甘草、生姜、大棗の
7種類の生薬の合剤です。葛根には頚の張りを緩和する効果がある
ので、肩こりに使用されますし、麻黄は咳を止める効果があるので
風邪や喘息に用いられます。また麻黄と桂枝の組合せは発汗を
促すので、汗の出ていない風邪に適応があります。さらに温める
生薬が多いので、全体として身体を温める作用を有します。
とまあ、こんな感じで色々なことに効くのは確かなんですが、
あくまで含まれる生薬の効能の延長線上にあることを知って頂いた
方が過度な期待をせずに済みますね。そして漢方薬だからと言って
副作用が無いわけではないです。1剤に複数の生薬が含まれると
いう特徴は、逆に言うと1剤でも肝臓に分解の負担をかけるという
ことでもあります。やはり漢方薬といえど薬である以上は必要最低限
にするべきだと思います。
漢方薬は1剤で色んな効果が出る素敵な薬ですが、その理屈を
知ると万能薬ではないことが分かると思います。