糖尿病は自覚症状に乏しい割に、将来的に網膜症や腎不全や神経障害を
来すので早期発見が叫ばれています。しかも日本では糖尿病が増え続けて
いるので、早期発見あるいは予備軍を見つけることにはもちろん賛成なの
ですが、何を使って発見するのか、何をもって予備軍とするのか、が
問題です。
メディアでよく取り上げられるのはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)です。
健康診断なんかでも測定しますよね。このHbA1cはヘモグロビンと
糖が合体したものの濃度です。6%を超えると糖尿病の始まりだから、
定期的に測定して早期発見しましょう、ということになっています。
つまりHbA1cという項目を使って早期発見をし、6%に近い人を
予備軍としているわけです。
HbA1cと同様に糖尿病の指標としてグリコアルブミンという検査項目
があります。これもアルブミンというタンパク質と糖が合体したものです。
実はアルブミンはヘモグロビンよりもはるかに糖と合体しやすいという
性質があります。ということはHbA1cが6%を超えていなくても、
グリコアルブミンは高値、なんてことがありえるわけですね。なので、
ウチではもっぱらグリコアルブミンの方を測定しています。
ではグリコアルブミンが高値でなければ安心かというと、そうでもないん
ですねぇ。血糖値が下がりにくくなるのが糖尿病の定義みないなもんですけど、
いきなり血糖値が下がらなくなるわけではなく、前段階として血糖値の乱高下
が起こります。HbA1cもグリコアルブミンも血糖値の積分ですから、
低血糖がある時期には高血糖があっても相殺されてむしろ正常値になるんです。
ですから、本当の早期発見は血糖値の乱高下を捕まえることです。この乱高下
こそが予備軍と言えると思います。しかしながら乱高下を正確に評価するには
1日の血糖値を30分おきくらいに測るしかないのでなかなか難しいのが
現状です。1,5ーAGという検査項目が食後の高血糖を反映するので、今後は
もしかしたらこちらが早期発見の主流になるかも知れません。