これまで常識とされていたことが覆る現象をパラダイムシフトと言いますが、
ここ最近の医療現場ではパラダイムシフトと言えるような事が続いています。
そもそも医療は科学と言いながらも、人体の現象を扱うものでまだまだ不明な
ことが多く、物理や化学の世界とは違います。なので、普通に考えればパラダイム
シフトって起こりやすい業界だと思うんですよ。しかしながら、現実には従前
の診断学や治療学を変えることは困難で、パラダイムシフトは起きづらい状態
でした。多分に日本の保守的思考が影響しているとは思いますが。
それがここに来て、AKA−博田法が夜のゴールデンタイムに紹介されたり、
湿潤療法に扱う被覆材が一般販売されたり、糖質制限の本が売れたり…。これ
だけ色々と変革が起きるということは、ある意味飽和状態であるとも考えられ
ます。バブルがはじけるような感じ。ここで気をつけるべきは、パラダイム
シフトによって得られた新しい常識もまた、もしかすると変革するのかも知れない
という事です。変革したから正しい、と短絡的になることがまた変革しにくい
状況を作るわけですね。
医療が科学になりきれないのであれば、努めて論理的な姿勢であるべきで、「自分
が何年も携わってきたから」とか「師匠がやった実験だから」とか、いわゆる私情
や願望は絶対に挟むべきではないです。件の理化学研究所の問題も、「なぜ世界的
権威ある研究所でこんな杜撰なことが起きたのか」ってワイドショーでやってました
けど、むしろ世界的権威だからこそパラダイムシフトは起きにくいのでしょうね。
新しいもの好きな僕としてはパラダイムシフト大歓迎なんですが、ほいほいそれに
ほだされてはいけないな、という自戒のお話でした。