最近やたらとCMで宣伝されており、患者さんからもよく質問される
神経障害性疼痛について。神経は中枢神経と末梢神経に分かれますが、
ざっくりと脳〜脊髄が中枢神経、脊髄からの枝分かれが末梢神経と言え
ます。CMで言うところの神経障害性疼痛はこの末梢神経の痛みで、これに
効く薬が出たよ、という話です。
末梢神経は脊髄から枝分かれして手足に行きますから、例えば坐骨神経痛
と言われる症状や、頚や腰のヘルニアによる痛み、帯状疱疹後の痛み、
などが該当します。これを分かりやすく言うとCMのように「ビリビリ」
「ジンジン」「チクチク」した痛み、なんて表現になるわけですが、実は
万人向けの薬ではありません。
ファイザー社がCMのスポンサーなので、具体的にはリリカという名前の
薬を指していると思われます。この薬は確かに今までにない効き方をするの
ですが、結構な確率でめまいなどの副作用が出ます。ですから現場では標準の
薬を試して無効だった場合に選択される事が殆どです。選択する場合も少量
から開始して副作用が出ないか見ながら増量します。もっとも、帯状疱疹後
神経痛や三叉神経痛といった難治性疼痛には、通常の痛み止めはほぼ無効なので
最初から選択される事もあります。
まあ黒板の前で金ぱ…じゃなくて武田鉄矢さんに紹介されれば妙な説得力が
出てしまいますが(笑)、少なくともこれまでの標準治療に取って代わるような
薬ではないです。ウチでも使用することがありますが、まずは標準治療、
そして漢方薬、それでもダメならリリカ、という順番にしています。