朝晩が急に寒くなって昼間は日差しが強く、でもまだ来週にはまた台風が来る
らしくてと、めまぐるしく天候が変わるので風邪を引く患者さんが増えてきました。
真冬よりもこういう季節の変わり目の方が多い気がします。
さて風邪には西洋薬よりも漢方薬の方が実は効果的です。その一つの理由が、
「症状の細かな変化に対応できる」という点が挙げられます。皆さんも経験が
あると思いますが、風邪の最初は「ぶるっ」と来てそれから高熱が出ます。
その時は関節も痛くて、咳や頭痛も激しいですね。その後解熱しても、食欲が
すぐれないとか、倦怠感が続くなんていう症状に変わります。要は風邪は時期に
よって随分と症状が違うと言うことです。
漢方薬はこういう時期による症状の違いにそれぞれ対応できるので、風邪の治療
に適してると言えるのです。例えば「ぶるっ」と来た時は身体の表面が冷えた感じ
がするわけですから、「表寒」の状態と表現されます。この表寒に使う生薬が
桂枝や麻黄です。この桂枝と麻黄が配合されているのが有名な葛根湯です。
だから「風邪の引き始めに葛根湯」となるわけですね。
症状が進行して、食欲低下や下痢なんかが出てきたらこれは「裏熱」と表現され
ますが、このステージでは桂枝や麻黄はもう効果がないんですね。裏熱に適した
生薬を選択せねばなりません。ですから、「風邪に葛根湯」では間違うわけです。
西洋医学は日々進歩していますが、いまだに風邪の特効薬は存在しません。この
分野ではまだまだ漢方薬が活躍しそうです。(^ ^)