栄養療法を診療に取り入れるようになって、患者さんには積極的に血液検査を
お勧めしていますが、その理由は「個人の客観的情報が豊富だから」です。
症状や身体所見が重要なのは言うまでもありませんが、それらはほとんどが
数値化できませんよね。より正確に状態の変化を読み解くには客観的なデータ
が必要なんです。
血液検査というと、「今年は全部A判定だったから大丈夫」とか「コレステロール
が基準値以上だった!」なんて聞きます。これらは間違いではありませんが、
あくまで基準値に入っているかどうかから判断された評価です。基準値という
のは本当に単なる基準なので、「正常値ではない」ということを是非覚えておいて
ください。
例えば、ヘモグロビンという項目は貧血の判断に有効と知られていますが、それは
ヘモグロビンが鉄を多く含むからで、ヘモグロビンが少なければ鉄も少ない、
だから貧血、という根拠です。でもヘモグロビンにはタンパク質も必要ですから
タンパク不足でも低下してしまいますし、逆に喫煙者では上昇する傾向があります。
ですからヘモグロビンの値が良くても喫煙の習慣があれば、実は低いかも知れない、
と推理しなければいけないわけです。
とまあ、こんな風にややこしいので基準値なんてものが設けられたんですが、少なく
とも、基準に入った入らないで一喜一憂するのはちょっとバカらしいことがお分かり
頂けるかと思います。その方の生活習慣や嗜好や食事、はたまた仕事のストレス
なんかを加味して客観データを読んでいく、というのが栄養療法的血液データの
活用法なんですね。そうすることで具体的な指導や治療方針が建てられます。
これからも是非、協力してくださいね!(^ ^)