昨日は東京で漢方の勉強会でした。僕が開業前に研修でお世話になった
北海道の井齋先生が主宰する「サイエンス漢方処方研究会」です。まだ
立ち上げから1年ほどなので、多くて50人くらいかな、と思っていたら
100人以上の参加者がいてびっくりしました。
井齋先生とはあまり話ができませんでしたが、一緒に漢方を学んだ先輩
ドクターと久しぶりに会えて楽しかったです。
この研究会の主旨は、東洋医学の論理を現代科学で解き明かすことで漢方
の普及に貢献しようというものです。東洋医学は五感をフル活用して行う、
いわば理学所見での診断学なので、もちろん当時はこれが「科学」だったの
ですが、現代で言う科学ではありません。生薬の薬理作用そのものも全く
解明されていないものが多く、結局は経験的直観的な処方選択となります。
現代科学の薫陶を受けたドクターからはこれは到底受け入れがたく、さらに
難解な東洋医学理論、漢字の羅列(笑)が漢方の普及の阻害要因となって
います。これではお先真っ暗だ、と言うことで極力東洋医学的な単語を西洋
医学の言葉に置き換えて、現代科学で漢方理論の説明をしようというこの
研究会の試みは至極全うであると思います。
ただこれが即臨床に応用できるか、はまた別問題です。科学的解明なんて
患者さんにはあまり関心がないことですし、それが分かったから新たな
処方選択に結びつくわけでもないからです。せいぜい処方の裏付けができて
医師の精神衛生上プラスだ、という程度でしょうか。
医師への啓蒙には一役買っても、患者さんには特に利益なし、では物足りない
ので、これからの活動で臨床的な応用に発展することを期待しています。