当院の治療

湿潤療法

感染するということ

感染するということ

キズを消毒したり、触らないようにしたりするのは、「キズに菌が付くと感染する」という考えが根底にあるからです。しかし菌がいるだけでは感染は成立しません。菌が異常に増殖しない限り感染は起こらないのです。そして細菌が増殖するためには、何らかの培地が必要です。培地となるのは死んでいる組織、生体から切り離された組織で、たとえば泥や砂、カサブタや血腫なんかも培地となり得ます。確かに消毒薬は細菌を殺しますが、その効果は数時間ですし、我々の皮膚に住む「常在菌」も無差別に殺しますから、消毒を続ければ「常在」しないはずのヘンな菌が住みついたりします。

以上より、感染させないためには消毒するのではなく、菌が増殖しないような環境にするのが一番だと言えます。ですから積極的にキズは洗った方がいいですし、泥や砂がついていればそれを取り除くことが最優先されます。運悪く感染してしまった場合も、漫然と抗生剤を続けるのではなく、菌の増殖を助けるような壊死物質がないか検索することが重要になってきます。壊死物質を除去するだけで感染症状が落ち着くこともあります。

決して「キズを清潔にする=消毒」ではないのです。