当院の治療

漢方薬

漢方医学の“切り口”その弐

漢方医学の“切り口”その弐

「五臓六腑に染み渡る?」
よく「五臓六腑に染み渡る」なんて言いますが、これは東洋医学の考え方で、五臓は「肝・心・脾・肺・腎」で、六腑が「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」を指しています。ここで言う臓腑はいわゆる肝臓や心臓といった臓器に必ずしも対応しているわけではなく、「機能」を指しています。

例えば「肝」は肝臓のことではなく、「精神・思考活動」のことです。「脾」は脾臓ではなく、「消化・吸収機能」のことですし、「腎」は「生命力・生殖能力」を表す、といった具合です。

「抑肝散」という名前の漢方薬がありますが、これは読んで字の如く「肝の異常を抑える」効果がある薬なので、ストレスが関わるような病態に使用します。「牛車腎気丸」という薬は「腎の衰えを活気づける」という意味合いがありますので、現代的に言えば「アンチエイジング」のために利用します。夜間頻尿や目のかすみ、物忘れなんかは「エイジング」によるものですから、この薬ひとつで複数の症状がとれることもよくあります。

このように臓器重視ではなくて、機能重視で処方を決めるというのも漢方医学の特徴と言えます。