症例報告

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アキレス腱部の皮膚欠損創

5歳の男児。4月下旬、自転車の後部に乗っていて左踵を金具で損傷。他院にて縫合処置を受け一旦は終了となるも、カサブタを形成し、発赤も出現、その後皮膚欠損創となったため当院に来院されました。


もともとアキレス腱周辺部はキズが治りにくいことが多いのですが、この例では恐らくカサブタから細菌感染が起こり、縫合部皮膚が壊死して皮膚欠損となったと思われます。(写真1)

創には硬い壊死組織が付着していたので、可及的に除去し湿潤療法を開始しました。途中、過剰肉芽に対しステロイド軟膏は使用しましたが、消毒薬を含めて他の薬剤は使用していません。約3週間で創のサイズは1/3以下になりました。(写真2)

その後も特に問題なく、普通にお風呂も入ってもらい、ご自宅でも湿潤療法を続けて頂き、治療開始から約6週間で完全に上皮化しました。(写真3)


湿潤療法の特徴として、痛みがないこと、自宅でもできること、が挙げられます。この症例のように、小さいお子さんの場合は特にこの特徴が生きます。処置が痛くて病院にも来てくれなければ、治療は難航してしまうからです。

また、自転車の後部座席で足を怪我するケースは意外と多いです。スポークに巻き込まれたり、金具に挟まったり。まあ、子供が足をバタつかせていたら防ぎようはありませんが、お子さんを自転車に乗せるときは注意してください。


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写真1 約3cm大の皮膚欠損創。中心の白い物質が壊死組織です。
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写真2 大きさ、深さ、壊死組織の量すべて改善されています。
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写真3 上皮化しました。残念ながら、傷痕は完全には消えません。

2009年8月7日 金曜日

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