“治すこと”にこだわると言っても、ただやみくもに治療していては効率的ではありません。治療はその“深さ”によって3つのレベルに分類できると考えています。
1本の樹に例えてみましょう。通常我々が自覚する症状は「葉」です。傷んだ葉の程度や枚数は個人差がありますが、これは他覚的にも観察しやすいので、アプローチも簡単です。一番浅いレベルの治療と言えるでしょう。傷んだ葉を摘み取ることで再発を見なければ、その時点で治療は終了です。
しかし、摘み取っても再び傷んだ葉が出てくる場合、ただ単に摘み取るだけでは解決になりません。場合によっては痛んだ葉が出現する頻度が増してしまいます。このような時には、傷んだ葉を産む原因となる「枝」や「幹」に目を向ける必要があるのです。これが2つ目のレベルに対するアプローチです。この「枝」や「幹」の異常は自覚できませんから、他覚的に正確に評価することが重要になります。うまく「枝」や「幹」を治療できれば、痛んだ「葉」は出現しなくなるわけです。
では「枝」や「幹」に治療を施しても芳しくない場合はどうでしょう。さらに深い視点が必要になりますね。それが「土」に対するアプローチです。「土」を変えて「枝」や「幹」を造り替えてしまおうという考え方です。根本的なアプローチではありますが、当然かなりの時間を要することになります。
当院ではこのような論理に基づき、それぞれの治療の特徴を活かして最適な方法を提案していきます。保険適応外の治療もありますが、その治療でなければいけないとは思っていません。あくまでも上記の論理から導かれる治療法が治癒への近道と思っています。患者と医療者が一緒に治療プランを建てられるような関係を目指しています。
院 長 日 野 篤